ブログ「Giardino da mangiare おいしい庭」

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アートライターが教える、文章が上手くなる五つのポイント



先日めずらしくビジネス分野のライティングを依頼され、短納期で人がいなくて困っていたのを見かねたこともあり、M&Aマッチングサービスで実績をあげている起業家のインタビュー記事を執筆しました。


すると、依頼主に随分「さまざまなライターさんと仕事をしていますが、友川さんは理解力、表現力、スピードなど全てにおいてトップクラスです!」と、褒められました。私にとってはごくシンプルな構成と書き振りだったので、褒められたことにかえって面食らってしまいました。


考えてみれば理由は簡単です。主な活動フィールドとしているアートとカルチャー分野は、書き手として高度なスキルを求められます。対象の感覚的魅力を伝えるための表現力と活動のコンセプトや背景にある文脈の理解、誤解なく伝えるための構成力など、バランスよく力が力が必要ですが。一方で、ビジネス分野は伝えるべきことが事実のみであったりするので、シンプルに書くのが分かりやすく好まれる分野です。長年アートライターとして活動してきたことで、ずいぶん鍛えられていたようです。


ここで改めて、上手な文章とは何かを考えてみました。ポイントは5つあります。


Point 1

正しい日本語が使えている


書き手としての基本中の基本のスキルです。このスキルを育むためには、まめに言葉の意味を辞書で調べる癖をつけると良いでしょう。言葉も用いる文脈により玉虫色に微妙に意味を変えてしまうものです。辞書で調べるだけではなく、どんな人がどんなシーンでどんな意味合いでその言葉を使っているのか、文例を最低5つ以上は見つけて、言葉の使用されている文脈を読み解くことも大切です。


また、読みやすく書くことができのも大切で、「漢字」「ひらがな」「カタカナ」が文中で偏りなく使用されているかどうかもチェックポイント。このバランスは想定する読者に合わせて変わってきます。一文が長すぎないのも読みやすさに関係します。


Point2

豊かな表現力がある


美文、麗文が表現力とも限りません。必要なのは語彙力です。一般によくつかわれている言葉の中から、紹介したい事象にぴたりと当てはまる語彙を使えるかどうかが大切です。日本語は奥深く、雪にまつまる表現だけで77個もあるそうです。よりフィットする言葉を見つけるために、私はよく類語辞典を用います。

参考リンク:雪の種類、言葉、表現を 77コ集めてみました! 【一覧表】 参考リンク:類語辞典

また、わかりやすく「例える」力も表現力と言えるでしょう。この力を鍛えるためには、小説など人の書いた文章をたくさん読むのが早道です。例えば、雪にまつわるこんな例えなど。


雪片はごく薄い錫(すず)の箔をうちあてるような音を立てて
三島 由紀夫 『金閣寺』

ちぎれた雲が空から落ちているようなやわらかい雪だった。
村上 春樹『羊をめぐる冒険』


ビジネス分野などではあまり重要視されないのが、例える力(比喩表現)。しかし、文章に一味加わると読み手も「面白そうだから最後まで読んでみよう」となるものです。媒体や読者の特性に合わせて、さりげなく比喩を織り交ぜてることで、イメージ豊かな文章になり、伝わりやすさを上げることができます。


Point3

文章の構成がきちんとしている


いわゆる起承転結が文章構成です。WEBライティングではわかりやすさを重視して、「結」から書き出すこともよくあります。文章の型にはいくつか種類があり、下記のブログが参考になります。


参考:読みやすい文章構成に必要な5つの型を解説。伝わる書き方を身につけよう


文章が苦手な人は、この構成が上手くいっていない傾向が強くあります。伝えたい事柄に適した型を選んで書き始める前に、その文章で「何を」「どんな人に」「どんなふうに」伝えたいかが整理すると上手く行きます。ライティング・コーチをする際には書きたいテーマと内容をマインドマップやポストイットで整理してもらうようにするのはその為です。


Point4

程よいリズム感がある


せっかく書いた文章でも、リズム感が悪いと読み手の頭に入りづらく、最後まで読んでもらえません。工夫するポイントとしては、語尾に変化をつける、接続詞を多用しすぎない、一文を長すぎない程度に区切るなどがあります。


リズム感のチェックには、書いた文章を音読してみると良いでしょう。音読してみて違和感のある箇所を確認・調整するのは、いわば執筆の総仕上げのような作業です。


Point5

良いアイディアで書かれた文章である


文章のアイディアが面白くなければ、誰もその文章を読んでくれません。つまり、このポイントが最重要項目です。ライティングを依頼された場合は、依頼主にこの点をよく確認してから執筆する必要があります(稀に、なぜこの記事をライターに依頼するのか理解をしていない発注主が存在していたりもしますが、その場合は趣旨を汲み取るのもプロフェッショナルのスキルと言えるかもしれません)。


冒頭で紹介したM&Aマッチングプラットフォームを立ち上げた起業家の記事は、いわゆるPR案件でした。事業を売りたい側と買いたい側のマッチングプラットフォームサイトをオープンしたばかりというタイミングで、サービスの内容と起業のバックグラウンドを訴求するのが目的でありテーマです。そして、この記事で最も面白いアイディアは、起業家のバックグラウンドと業績(実際に素晴らしい経営手腕を持った方でした)でした。サービス自体は始まってまもなく実績もわずかなので、起業家個人の魅力で推したわけです。読者が「この人になら相談したい」「会ってみたい」と思ってくれたら成功といえるでしょう。


依頼仕事ではなくブログなど自身のアイディアで文章を書く際には、自分で良いアイディアを見つける必要があります。普段から情報収集をするとともに、興味を持った物事について「なぜ興味があるのか」「どんなところにより惹きつけられるのか」と、深掘りしていくと独創的な文章のアイディアが生まれて来るでしょう。



文章が上手くなるためには


結局のところ、文章が上手くなるためには書くしかありません。書いて人に見せて校正してもらうと良いでしょう。私自身は編集者に校正してもらうことで、ライティングスキルを上げていきました。駆け出しだった頃には、美術手帖編集部の方々に育ててもらい、足を向けて寝られません。


そんな私も今では、ライティングの依頼だけでなく「書き方を教えてほしい」とお願いされることが増え、上記の5つのポイントを、執筆→校正のやりとりを通じて短期間で身につけるライティング・コーチをしています。


短期間で文章力に自信がつくライティング・ジャーニー


これまでには、アートやカルチャー分野に限らず、小学生に手解きしたこともあります。心理学の専門家がビジネス・エグゼクティブに向けたメルマガで執筆する機会に、コーチとして並走させてもらい、全6回分の執筆を終えた時に「自信のなさを払拭できた」と声をかけてもらったのは良い思い出です。


誰しも1人では成長に限界があるもの。コーチを活用して短期間で文章力に自信をつけてください。よりアートに特化したライティング力を高めたい方には、下記で紹介している書籍も参考になります。


アートライターの教科書


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