ソーシャルイノベーションにおけるアートと心理


ソーシャルイノベーション研究をしている教授から、上の図のようなイノベーション創出の世界観について話を聞きました。イノベーションとは、すでに仕組み化された右の円の状態を逸脱して、左側の円の領域で思考され、創出されるものであること。そして、左の円で生み出されたものを再度右の円に持ってゆき、サイエンスに統合することで、持続可能なイノベーションになるということでした。右と左を行ったり来たりできる力が、イノベーション創出には欠かせないと言えるでしょう。


この図を知ることにより、私が専門領域とするアートや心理は、左側の円の領域に位置するもので、社会全体を俯瞰した際の領域の役割に納得することができました。


ところで、アートと心理の二つの専門性をつなぐ取り組みといえば、アートセラピーがあります。このところ、アートと心理の結びつきには、癒しや人間性の回復を志向セラピー以上に可能性があるように感じています。


例えば、同じ心理学を用いた1 on 1 のセッションであっても、カウンセリングを目的としたものとコーチングを目的としたものとに分かれます。前者は社会的にマイナスな状態に陥ってしまった人を支援するための手法であり、後者は社会的に活動可能な人がよりパフォーマンスを発揮できるように支援する手法です。


つまり、カウンセリングとコーチングの関係性における、アートセラピーにおいての、アートコーチングのようなものは、可能性として十分にあるだろうということです。


こうした考え方を深めるようになったきっかけは『人が成長するのがどういうことか』(鈴木規夫著、日本能率協会マネジメントセンター)という本です。本書では、人が発達する段階では、その人が発達し残している部分を統合することが必要であるという考え方が語られています。


また、SE(ソマティック・エクスペリエンシング®)のトラウマに対するアプローチにも似た考え方があります。トラウマとは何らかの刺激により神経系が凍りつきを起こしてエネルギーがそこにとどまってしまっている現象のことを指します。その凍りつきを溶かすことがトラウマの解消とされるのです。


未発達部分の統合も、トラウマの解消も、起こることはその人がいままで使うことができなかったエネルギーを使えるようになる状態であり、リソースの増加を意味します。そこには生きづらさの解消以上の効果が期待できるのです。


ソーシャルイノベーションに寄与できるような、アートと心理の掛け合わせで生まれる何かについて、今後も探求していけたら良いなと考えています。





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