穂高養生園のスープ

最終更新: 10月11日



ある日、どうしても自然の中に身を置きたくなって、長野県にある穂高養生園に向かった。穂高駅からバスで20分ほどの山間にある、リトリート施設だ。


到着したとたん、身体から力が抜けていくほど、清々しく癒される場所だった。到着したその日、少し早めの夕飯を供されて、はじめて食べるマクロビオティックをゆっくりと味わっていると、その日の食事づくりと担当してくれたシェフの鈴木愛さんが、挨拶とメニューの説明をしてくれた。


お膳に彩豊かにならんだ小鉢の、ひとつひとつが本当に手が混んでいて美しく、味もまた滋味と華やかさが同居するような有様で、とても芸術的な夕飯だった。お膳に並んだメニューは、凛とした愛さんの姿に、よく似ていた。


穂高養生園は朝10時半と夕方17時半に食事が出される。


一日2食。玄米菜食。


2食では足りないのではと、最初は戸惑うのだが、すぐに身体は慣れるものだ。かえって、2食のほうが、食べたものをしっかりと消化でき、食事が美味しく、よく食べられる。


シェフは日替わりで、初日の愛さんのほか、若い男性シェフの日は、もりもり食べられるブラジル風男子飯だったり、可愛らしい女性のシェフの日は、ビーツの色鮮やかなスープが添えられて華やかなお膳だったりと、滞在中の食事はもっとも素敵なエンターテイメントだった。


ゆっくりと味わう旬の野菜たちが、身体の細胞のひとつひとつにエネルギーをくれるのがわかった。


あっという間だった3泊4日の滞在を終えるとき、ロビーで手に取ったのが、鈴木愛さんの著書『なんとなく不調をととのえるスープ』 。カバンに入れて持ち帰った。


野菜と出汁の、シンプルなレシピの数々を眺めていると、穂高養生園の癒しの空間が目の前に広がるようで、深く深呼吸をしたくなる。


風邪でもないし身体は元気なはずなのに、眠れなかったり、肌がくすんでいたりして、落ち込んでしまうような時に、この本はお守りになった。時にはレシピどおりにスープをつくってみるけれど、ほとんどが眺めているだけ。それだけでなぜだか元気が出る。



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