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あべ さやか個展「Traveling Tea House」

2025年4月5日(土)〜4月29日(火・祝)

時間:12:00〜19:00(最終日は17:00まで)

休館日:月曜 *ただし4月28日(月)は開館

会場:コートヤードHIROO ガロウ(〒106-0031 東京都港区西麻布4-21-2)

 

ギャラリーツアー:4月6日(日)13:30〜

 *作家が展示作品を案内いたします。コートヤードHIROOの月1定期イベント、企画や商品・特技などを持ち込む「モチコミ」も同日開催(11:00~16:00)

 

トークイベント:4月27日(日) 14:00〜15:30

登壇者:あべ さやか、菊池宏子(アーティスト)、渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)

 

PRESS RELEASE

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 コートヤードHIROOとgallery ayatsumugiは、4月5日(土)から4月29日(火・祝)まで、あべ さやかの個展「Traveling Tea House」を開催いたします。

 

 あべ さやか(1980年生まれ)は、日常では見えにくい声や存在を、インスタレーション、ビデオ、ドローイングなどの手法で可視化する作品を発表してきました。

 

 彼女のデビュー個展「The pocket world(ポケット・ワールド)」は、ヘリット・リートフェルト・アカデミーを卒業した2009年に、オランダ アムステルダムで開催されました。テーマは移動できる小さなプライベート空間としての衣服のポケットです。

‘Pocket world –  The candy girl-’ Sayaka Abe Cotton, Silk, Pencil, Cast plastic 270×140cm  2009 NOG-SNS Reaal Art Foundation collection

©️Sayaka Abe

 日本では「陶」、オランダでは「ジュエリー」を専攻て学んできたあべの関心事は、この頃から「親密で快適な空間を持ち歩く」ことに向かっています。それは、大学内の施設や自宅を移動して作品を運びながら制作していた経験から生まれてきました。丸めて持ち運びしやすい布が作品の素材に選ばれているのは、そのためです。

 

 また、布に描き出されたイメージに光が透過したり、展示された作品が風にふわりと揺れる様は、あべの「地域や領域の境をとかしていく」活動スタイルとも重なり、現在も重要なテーマになっています。
 

 この時の作品は2点、SNS REAAL基金のNOGコレクション(オランダ)に収蔵されています。

 ‘Nostalgia? ’ Installation View, 2011 C3 gallery Amsterdam NL, 2009 @Sara Bjarland

 2013年には、徳島県神山町の神山アーティスト・イン・レジデンスに参加しました。ここでは、梅やすだちといった地域の特産品をモチーフに、人々の日常をすくい上げる作品を制作しています。以降、オランダと日本の2拠点で制作するようになりました。

‘Umeboshi Sudachi Portraits’   Sayaka Abe Video 2013 ©️Sayaka Abe & Manus Sweeney

 2015年には、オランダ ユトレヒト州の精神科病院アルトレヒト病院で行われているアーティスト・イン・レジデンス プログラム「The Fifth Season(フィフス・シーズン)」に参加しました。

アルトレヒト病院でのレジデンス中には、患者やスタッフとの交流の場としてピザランチ会を開催

 各地のアーティスト・イン・レジデンスに参加をすることで、あべ さやかは地域の人々との協働の回路をひらいてきました。時に食卓を共に囲み、その土地の人の話を聞くことで、人々の内側にある興味関心や、普段は意識されない習慣的な活動を「ちいさな声」としてすくい取り、作品に落とし込んでいくのです。

 

 こうして制作されたあべの作品群は、人物ひとりひとりに向けた繊細な眼差しと、その人にとっての「親密で快適な時空間」を描きだしています。

 

 フィフス・シーズンで制作した作品は、2017年にアーツ千代田3331で開催された「ソーシャリーエンゲイジドアート展 社会を動かすアートの新潮流」で紹介されました。

‘Dear Fighters! - Mr. twin P’ Sayaka Abe Washi paper, Pencil 100 x 130 cm 2015

 また、2016年には人口5,000人(2025年現在)の徳島県神山町に移住。神山メイカースペースを立ち上げて地域の子ども達にものづくりの場を提供しているほか、2018年にはパートナーのマヌス・スウィーニーと共に、ナノブルワリー「KAMIYAMA BEER」を設立して、アートディレクションを務めています。

徳島県神山町のナノブルワリー「KAMIYAMA BEER」

壁画とビールラベルはあべ さやかが手がけている

 デビュー作「The pocket world」で、移動できる親密な空間として始まった、あべの活動は現在、地域にクリエイティブで心地のよい空間を創出するに至るまで拡張しています。そして、あべの関心事は、神山町の豊かな自然に囲まれて子育てをする暮らしの中で、「五感」や「四季」にもさらに広がってきています。

 

 本展のメインとなるプロジェクト「Traveling Tea House」は、茨城県大子町の精神科病院 袋田病院とフィフス・シーズンとの協働プロジェクトで制作されたものです。2019年にスタートしたこのプロジェクトに、あべ さやかは2022年から参加をしています。

 

 コロナ禍で移動が難しかったこともあり、当初プロジェクトはオンラインで進みました。あべ さやかが神山町から送ったすだちなどを、袋田病院の参加者が実際に手にとり、五感で感じた情報をドローイングやオノマトペに置き換えるワークショップ「HapticScape」は、遠隔でも五感を通じた交流を実現させました。

 

また、「Traveling Tea House」は、あべが神山町から藍の種を送り、袋田病院の自然農園「ここあ農園」で藍を育てることから始まりました。そして、あべが滞在中に、患者やスタッフと共に育った藍の葉で布を染め、神山の古民家でみつけてきた蚊帳をみなで修繕し、その蚊帳の中で藍の葉のお茶を飲むというもの。院内の日常が、爽やかな藍の色で染められた時間でした。

左/HapticScapeワークショプの様子 
右/袋田病院の利用者からあべに届いた、様々なものが詰まったダンボール箱

旧病棟に吊った蚊帳の中で、育てた藍の葉をお茶として楽しんだ茶会の様子

 袋田病院でのレジデンス・プロジェクトについて、あべが決めたことがふたつあります。ひとつは「10年間関わる」こと、そしてもう一つは「病院の外に伝える活動をすること」です。

 

 「Traveling Tea House」は、袋田病院で制作されたあと、オランダでも2箇所で展示を行っており、日本の病院外では今回が初公開です。会期中の週末には、袋田病院やオランダであべが実際に行っていたように、藍染の蚊帳の中でTea party(茶会)を開催します。居合わせた方はどなたでも参加可能ですので、詳しくはアーティストやコートヤードHIROO、gallery ayatsumugiのSNSをご覧ください。

 

 「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」とは、現実社会に積極的に関わり、人びととの対話や協働のプロセスを通じて、何らかの社会変革(ソーシャル・チェンジ)をもたらそうとするアーティストの活動の総称として知られています。社会変革というと、権力や大きな出来事によるものとイメージされがちですが、あべの活動による社会変革は、日常から繊細に紡ぎ出される新たな物語に触れた、誰かの心のひだから生まれてくるものなのです。ぜひ、展覧会をご覧いただき、アートを通じた社会変革の一助となってください。

 

 あべ さやかの日本での初個展をお見逃しなきよう、皆さまのご来廊を心よりお待ちしております。 

アーティスト ステイトメント

 

 作品制作を通して、現代に生きる人々の個人の物語と、彼らを取り巻く社会環境を紡ぎ直すことを試みる。

 孤独、老い、社会孤立など、一般社会から見えにくい状況に置かれている人々と、作家自身を近い距離に置き、アート、文化の視点を生かした対話や交流、リサーチを通して見えない声を探ってゆく。

 見出した見えない声を、等身大のドローイングや五感を刺激する方法で訪問者へ提示することで、鑑賞者それぞれが自分自身を振り返る機会とする。

あべ さやか

1980年 三重県生まれ。

2004年 多摩美術大学工芸科陶プログラム卒業

2009年 ヘリット・リートフェルト・アカデミー(アムステルダム)卒業

2011年 文化庁新進芸術家海外研修員としてサンドベルグ大学院にて応用美術修士修得


アーティスト。徳島県神山町在住。日本とオランダを拠点に活動。日常では見えにくい声や存在を、インスタレーション、ビデオ、ドローイングなど様々な手法を通じビジュアライズする。近年はオランダの精神科病院でのレジデンスプログラム(2015年アルトレヒト病院/オランダ・ユトレヒト州、2022〜2024年袋田病院/日本・茨城県大子町)「The Fifth Season(フィフス・シーズン)」に参加。Kamiyama Makerspace(KMS)代表。KAMIYAMA BEERオーナー。https://sayaka.nl/

[展覧会概要]

作家:あべ さやか

展覧会タイトル:Traveling Tea House

会期:2025年4月5日(土)〜4月29日(火・祝)

開館時間:12:00〜19:00

休館日:月曜 *ただし4月28日(月)はOPEN

入場無料

会場:コートヤードHIROO ガロウ(〒106-0031 東京都港区西麻布4-21-2)

アクセス:東京メトロ日比谷線広尾駅4番出口より徒歩9分、東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅1a出口より徒歩14分

 

ギャラリーツアー:4月6日(日)13:30〜

 *作家が展示作品を案内いたします。コートヤードHIROOの月1定期イベント、企画や商品・特技などを持ち込む「モチコミ」も同日開催(11:00~16:00)

トークイベント:4月27日(日) 14:00〜15:30

 登壇者:あべ さやか、菊池宏子(アーティスト)、渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)

 

主催:コートヤードHIROO、gallery ayatsumugi

企画:友川綾子(gallery ayatsumugi)

協力:The Fifth Season、袋田病院、ROKUROKURIN合同会社、神山アーティスト・イン・レジデンス、KAMIYAMA BEER

助成:一般財団法人 川村文化芸術振興財団

後援:駐日オランダ王国大使館

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本展での販売作品には、スタートバーンが構築するブロックチェーンインフラ「Startrail」のNFTを発行します。

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