
上原耕生個展「路上の記憶、滲む暮らし」
2025年9月19日(金)〜29日(月)[9日間]
時間:11:00〜17:00
休廊日:9月24日(水)、25日(木)
会場:Gallery Cafe & Bar ULTRA 2階(〒722-0035 広島県尾道市土堂2-3-24)
尾道駅徒歩10分、絵のまち商店街内
入場無料 1階Cafeスペースはワンドリンクオーダー制
風に晒され、錆びていくトタンの肌に、上原耕生は沖縄の「世替わり(ユガワイ)」を描き出す。
本展は、上原耕生による「R ust Painting」シリーズの新作を紹介する展覧会です。
都市や地方の路上に赴き、風景に滲む記憶をすくい取ってきた上原は、今回、金属の腐蝕という時間の作用を通して、土地に宿る歴史や声なき語りを浮かび上がらせます。
シリーズには、アメリカ統治下の沖縄で写真館を開いた祖父への追憶や、軍の払い下げ品が並んだナイトマーケットの記憶など、作家自身の個人的な物語も織り込まれています。
それは政治や戦争によって幾度も書き換えられてきた沖縄の歴史に対する、静かで力強い応答であり、声を持たない風景たちへの静かな祈りのようでもあります。
素材に選んだのは「トタン」。戦後沖縄でバラック建築に多用され、台風や塩害に晒されながらも、暮らしを支え続けたこの金属は、沖縄にルーツを持つ上原にとっての路上の象徴的な風景です。
塩と鉄、そして時間が作用し生まれた「現れてきた風景」を、どうぞ目撃してください。
アーティスト ステイトメント
私は今回、路上の風景を通して、自分と生まれ育った沖縄の記憶を表現したいと思っています。
沖縄には、「世替わり(ユガワイ)」という言葉があります。
15世紀以降、琉球王朝のもとで唐やアジア諸国との海洋貿易により栄えた「唐の世」。
1879年、薩摩藩による琉球処分を経て始まった「大和世」。
1945年以降、アメリカの占領下に置かれた「アメリカ世」。
そして1972年の本土復帰以降、再び「大和世」へ—。
沖縄の言葉や風景、文化、制度、通貨などは、これら幾度もの“世替わり”のたびに、他民族間の政治的綱引きのなかで書き換えられてきました。
しかし私は、自身のルーツやアイデンティティとは、本来、時代や政治状況に翻弄されるものではなく、国家やパスポートといった制度によって一義的に定義されるものでもないと考えています。
かつてのウチナーンチュ(沖縄の人々)は、そうした“世替わり”の体験や暮らしの記憶を、民謡にのせて唄い、三線の音色とともに子や孫へと語り継いできました。唄を通して、彼らはその時々の風景を思い出し、想像することができたのだと思います。
私は楽器を奏でることも、沖縄の伝統行事に参加することもできません。しかし、約20年にわたり「路上」をテーマに制作してきた今の自分にできることは、沖縄で過ごした日々の風景や、口伝や歴史を手がかりに、自分自身のルーツに触れながら、私なりの表現としてかたちにしていくことだと考えています。
上原耕生(うえはら こうお)
アーティスト。1982年沖縄生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。故郷の「沖縄」や「精神科病院」、「路上」をテーマに団地の壁や道路の高架下、商店街、廃校となった学校などで制作・発表している。美術館やギャラリーといった場所にとらわれない、日常の生活空間の中での表現を試みている。2011年から非常勤の造形スタッフとして茨城県の精神科病院袋田病院に勤務。2013年から「袋田病院アートフェスタ」のディレクションを勤める。
https://www.instagram.com/ueharakouo
[展覧会概要]
作家:上原耕生
展覧会タイトル:上原耕生個展「路上の記憶、滲む暮らし」
会期:2025年9月19日(金)〜29日(月)[9日間]
開館時間:11:00〜17:00
入場無料 1階Cafeスペースはワンドリンクオーダー制
休廊日:9月24日(水)、25日(木)
会場:Gallery Cafe & Bar ULTRA 2階(〒722-0035 広島県尾道市土堂2-3-24)
尾道駅から徒歩10分、絵のまち商店街の中。
主催:合同会社アート・マネジメント・しまなみ
企画:友川綾子(gallery ayatsumugi)

本展での販売作品には、スタートバーンが構築するブロックチェーンインフラ「Startrail」のNFTを発行します。